炭酸ガス(CO2)レーザー治療

炭酸ガス(CO2)レーザー治療について

治療の概要・特徴

両側鼻内には鼻甲介と呼ばれる骨に粘膜をまとった板状の突起物が存在し、人間が鼻から吸い込む空気を効率よく温めたり、湿気を与えたりするために鼻腔粘膜の広さを広げる役割を担っています。アレルギー性鼻炎では、この粘膜が腫脹することで鼻閉がおこります。本治療はこの鼻甲介の中で最も大きい下鼻甲介の粘膜下組織をレーザーで焼灼、蒸散させ、鼻閉を改善するのが目的です。
その為、アレルギー性鼻炎があり、くしゃみや鼻汁よりも鼻閉が主体の患者様に有効な治療です。
この治療は従来の手術的粘膜切除や薬物による粘膜焼灼に比べて出血や痛みが軽減されています。
さらに比較的安全性が高く、短時間で済みますので、日帰り手術が可能です。

炭酸ガスレーザー治療について

適応

アレルギー性鼻炎(花粉症、ダニ、ハウスダストなど)で抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬・点鼻ステロイドなどの薬物治療で効果が不十分であり、特に強い鼻づまりが主な症状の方に効果的です。

しかし、鼻中隔彎曲症のひどい方(器械を入れる空間がなく装置が入りません)や安静が保てないなど処置が出来ない方は治療が困難です。また、内服薬、点鼻薬の効果が全くない、重症アレルギー性鼻炎の患者様には下鼻甲介切除、後鼻神経切除術、舌下免疫療法などをおすすめしております。
当院では原則として18歳以上に行っており、未成年は保護者の同意が必要であります。
完全予約制であり、スギ・ヒノキ花粉が飛散している1月〜5月は行っておりません。

手術手順

前日の食事制限など準備は不要です。
まず、麻酔液のついたガーゼを鼻腔に入れ鼻粘膜の麻酔を行います。(10分程)
ガーゼを抜いたのち、レーザー器械を下鼻甲介の粘膜下に挿入し粘膜を焼灼、蒸散させていきます。
手術時間は10-20分です。
術中の出血に対し、適宜止血のガーゼをつめることがあります。
術後完全に止血したのを確認して帰宅となります。(術中出血が多かった際には止血用のガーゼを挿入して帰宅することもあります。)
麻酔効果は1-2時間で消失します。
その後、感染予防目的の抗生剤、鎮痛剤などを処方し、抗生剤は数日内服していただきます。

術後の注意事項

手術当日は飲酒を控えてください。サウナなどの強い刺激でなければ入浴は可能です。
また、術後1カ月程度は鼻粘膜の腫脹、かさぶたの付着があり、鼻づまり、クシャミ、鼻水などがひどくなることがあります。1週間以内に1度再診頂き、鼻内の清掃を行います。かさぶたが付かなくなるまで通院が必要です。少量の鼻血が混じることがあります。止まらないほどの鼻血はごく稀です。
軽度ですが痛みを感じることがあります。長続きはしませんが、適宜鎮痛剤を内服してください。不快な症状が続く場合は再診してください。

副作用と合併症

感染:治療部位に感染を伴う事があります、数日間予防的に抗生剤の内服をして頂きます。
出血:基本的にはごく少量の出血しかしません、もしひどく出血する場合は当院に電話連絡のうえ、来院ください。
局所麻酔アレルギー:ごく稀に麻酔薬(キシロカイン)によるアレルギー反応・ショックを起こすことがあります。以前に歯医者さんなどの麻酔で気分が悪くなったことがある方はご報告ください。
もし合併症が起きた場合には最善の処置を行います。(なお、その際の医療は通常の保険診療となります。)
迷走神経反射:鼻内処置中に血圧が下がってしまい意識が朦朧としてしまう事があります、ご気分が悪くなった際は遠慮なく申し出てください。

効果と持続時間

アレルギー性鼻炎による、主に鼻閉症状を軽減する治療法です。
鼻閉に対する有効率(ほとんど無症状・大きく改善・多少改善を含む)は80%以上とされていますが、効果には個人差が大きく中には効果がなかったという方もいらっしゃいます。(これを術前に予測することは困難です)
永続的な効果を期待する治療ではありません、いずれ症状が再燃します。持続期間にも個人差が大きく、数カ月~数年とバラつきがあります。

費用

鼻炎治療のための下鼻甲介粘膜焼灼術には健康保険が適応されます。
保険点数は2,910点と定められており、これに診察料や検査料、投薬料などが加算されます。
健康保険が適応されおおよそ3割負担の方で自己負担額は10,000円(税込)前後となります。