舌下免疫療法

舌下免疫療法、実際の投与方法・スケジュール

概要

舌下免疫療法はスギ花粉・ダニのアレルギーに対する治療のひとつです。
これまでは症状を和らげるために内服薬や点鼻薬を服用する対症療法がメインでありました。
舌下免疫療法は根本的な体質改善が期待できる根治療法です。スギ花粉やダニの抗原を少しずつ体内に取り入れ、体を慣れさせていきます。
今まで対症療法のみでは症状を抑えきれなかった方や、スギ花粉やダニのアレルギーが強い方、アレルギー性鼻炎などのコントロールにて毎月のようにクリニックに受診されている方、使用する薬を減量したい方には積極的に舌下免疫療法をお勧めしています。
現在は安全性も確立されてきており、5歳以上から投与が可能と適応年齢もひろがりました。

 

治療の流れ

01.アレルギー検査

症状が本当にアレルギー性鼻炎によるものか、血液検査によるアレルギー検査を行います、検査は保険適応で3割負担の方で約5,000円(税込)程度です。(3年以内のアレルギー検査結果が必要になります)
検査の結果でスギまたはダニが陽性であれば適応となります。
スギ花粉アレルギーの舌下免疫療法は花粉が飛んでいない時期(6月から12月)にスタートする必要があります。

ダニアレルギーの舌下免疫療法はいつでもスタートが可能です。
ダニ、スギといずれも併用したい場合は、どちらかの初回投与後2ヶ月以上間隔を開ける必要があります。

01.アレルギー検査

02.治療開始

初回服用は、その後アレルギー症状が起きないか30分間経過をみます。
そのため初回投与のみ平日は17時30分まで、土曜日は11時30分までの受付とさせて頂いております。

03.お薬の服用

2日目以降は自宅で内服します。2周目に一度来院し副作用の確認をします。2週目以降は維持量へ増量して毎日続け、約1ヵ月に1回の診察が必要です。治療期間は3~5年が推奨されています。

効果が出るまでは対処的な治療も継続して行います。

 

服用方法

1日1回錠剤を舌の裏に置き、1分間唾を飲まずに保持します。
その後5分間はうがいや飲食を避けてください。
服用前、服用後2時間は汗を掻くような運動や飲酒、入浴は避けてください。

治療効果

7〜8割の方に効果があると言われています。

症状がほとんどなくなる方が20%程度、症状が楽になる方が50%程度です。

治療して効果があれば、治療を終了しても効果が続くと考えられています。

効果が減弱してきた場合には治療を再開することも可能です。

 

舌下免疫療法の副作用

スギやダニに対するアレルギー反応が強い方ほど副作用が生じやすい傾向にあります。
多くの場合は軽症であり抗ヒスタミン薬などの併用で症状が治まりますが、重大な副作用としてアナフィラキシーの報告もあります。
副作用はほとんどの場合、服用開始1か月以内に生じるため初期は注意が必要です。

 

軽度な副作用

口の中の浮腫、腫れ、かゆみ、不快感、異常感
唇の腫れ
喉の違和感、不快感
耳のかゆみ など

 

重度な副作用

≪アナフィラキシー≫
 薬に対する急性の過敏反応により薬を服用後30分以内に発現することが多く、下記の症状が現れます。

 

早期の症状

皮膚:蕁麻疹、掻痒感、皮膚の発赤などが全身に現れる。

消化器:吐き気、嘔吐

眼:視覚異常、視野の狭窄

呼吸器:呼吸困難、喘鳴、喉の掻痒感、咳

循環器:血圧低下、不整脈

神経:意識混濁、不安、恐怖感 

特に緊急度が高い症状は、循環器、神経、呼吸器、消化器の症状です。

急激に悪化することもあるため、救急車を呼ぶなどの迅速な対応が必要です

 

治療を受けられない方

・未治療の気管支喘息の方コントロール不良な気管支喘息の方
・高血圧治療にてβ遮断薬(メインテートなど)を服用している方
・ステロイド薬を内服中の方、抗精神病薬を内服中の方、重症の心疾患、肺疾患
・5歳未満の方、65歳以上の方
・妊娠中、授乳中の方(既に投与している方の継続は可能です)

 

費用

療は保険適応です。3割負担の方で治療費と薬局の薬代で1ヵ月2,000円〜3,000円(税込)程度になります。